PAST

リコーのStareReapとのコラボレーションは、昨年、2021年の秋にオノデラがRICOH ART GALLERYの展覧会を観たことが契機となってプロジェクトがスタートしました。新しいプリントテクノロジーであるStareReapは何を目指しているのか–– その意図を瞬時に感じ取ったオノデラは次々とリコーの技術者に質問を投げかけました。短時間ながらも濃密なやり取りの末にフランスへ帰国したオノデラは、本格的に今回の新作について構想を始めます。自由な渡航が難しい状況下においても、オノデラとリコーはオンラインでの打ち合わせや、試作プリントのやり取りを重ね、StareReapによる新作を完成させました。印象的な展題である「ここに、バルーンはない。」について、作家は自身で次のように語っています。
リコーのStareReapとのコラボレーションは、昨年、2021年の秋にオノデラがRICOH ART GALLERYの展覧会を観たことが契機となってプロジェクトがスタートしました。新しいプリントテクノロジーであるStareReapは何を目指しているのか–– その意図を瞬時に感じ取ったオノデラは次々とリコーの技術者に質問を投げかけました。短時間ながらも濃密なやり取りの末にフランスへ帰国したオノデラは、本格的に今回の新作について構想を始めます。自由な渡航が難しい状況下においても、オノデラとリコーはオンラインでの打ち合わせや、試作プリントのやり取りを重ね、StareReapによる新作を完成させました。印象的な展題である「ここに、バルーンはない。」について、作家は自身で次のように語っています。
きっかけは1900年初めにパリで撮られた一枚の写真だった。

当時の服装を身に纏った人々の後ろに堂々としたモニュメントがある。そのブロンズで作られたモニュメントは複数の人間の彫像が重なるようにして立ち、頭上の大きなバルーンを支えている。パリに住み随分と時が経ったが、このようなモニュメントは一度も見たことがない。調べてみた。ニューヨークの自由の女神で知られる彫刻家Bartholdiによって作られたもので、熱気球の操縦士と伝書鳩を讃えるためのモニュメントであった。このモニュメントは現存しない。1941年、パリがドイツに占領されていた時に他の何百もの彫像とともに「溶かされた」というのだ。
(続きは、ぜひプレスリリースの作家ステートメントご覧ください)
きっかけは1900年初めにパリで撮られた一枚の写真だった。

当時の服装を身に纏った人々の後ろに堂々としたモニュメントがある。そのブロンズで作られたモニュメントは複数の人間の彫像が重なるようにして立ち、頭上の大きなバルーンを支えている。パリに住み随分と時が経ったが、このようなモニュメントは一度も見たことがない。調べてみた。ニューヨークの自由の女神で知られる彫刻家Bartholdiによって作られたもので、熱気球の操縦士と伝書鳩を讃えるためのモニュメントであった。このモニュメントは現存しない。1941年、パリがドイツに占領されていた時に他の何百もの彫像とともに「溶かされた」というのだ。
(続きは、ぜひプレスリリースの作家ステートメントご覧ください)
新作のテーマである、第二次世界大戦中に姿を消した「溶けてなくなったバルーンの彫像」について思いを巡らすことは、「なぜ溶かさなければならなかったのか」という理由を同時に想像することでもあります。7点のプリントは、このところ激しさを増す世界情勢にオーバーラップするように、私たちに想像力の重要さをひときわ強く問いかけます。

オノデラらしい、しなやかな眼差しに貫かれた本展を、どうぞご高覧いただきますようお願い申し上げます。
新作のテーマである、第二次世界大戦中に姿を消した「溶けてなくなったバルーンの彫像」について思いを巡らすことは、「なぜ溶かさなければならなかったのか」という理由を同時に想像することでもあります。7点のプリントは、このところ激しさを増す世界情勢にオーバーラップするように、私たちに想像力の重要さをひときわ強く問いかけます。

オノデラらしい、しなやかな眼差しに貫かれた本展を、どうぞご高覧いただきますようお願い申し上げます。