tower (WOODEN BOX)
2021, UV Inkjet Print (StareReap 2.5 プリント), 木製合板, 79.5 × 40 × 40 cm
金氏の作品制作では、すべてのものが素材となりうる可能性をもっています。見慣れたものであればあるほど、日常から切り離されたときに生まれる違和感が大きくなる、あるいは面白さが生まれてきます。コラージュという手法で金氏は、無意識に私たちがものごとを通してみる時間や空間、与えられた役割をバラバラにしていきます。
リコー発のアートプロジェクト「StareReap」とのコラボレーションについて、金氏は展覧会に向けたステートメントで次のように述べています。
新しい技術であるStareReapがどういう物なのか、その特性と自分の制作の接点はどこなのかということを探りながら実験を繰り返してきました。
僕が理解したStareReapの特性は、本来、平面作品が内包していた微細な凹凸、絵の具やインクや紙が物であるからこそ持っていた物質感を表面のイメージと地続きで再現するということ、そして、それとは別で、デジタルイメージや広告や雑誌などの既製の印刷物や、すでに写真としてプリントされているイメージなど、凹凸をもたない画像に仮想の凹凸や、写真から凹凸を読み取って作り上げるということができるということです。古くから存在するレリーフという技法が扱っていた、空間や状況を押し込めるような感覚と逆のベクトルをもっているともいえますが、ある意味で新しいレリーフ技法なのではないか?
また、インクの耐候性の観点から、印刷物のコラージュや、カラーペンで描いたドローイングを鋳造し、時間軸をずらすということもあるのではないでしょうか」。
(「展覧会ステートメント」より抜粋:全文はPRESS RELEASEをご覧ください)
tower (WOODEN BOX)
2021, UV Inkjet Print (StareReap 2.5 プリント), 木製合板, 79.5 × 40 × 40 cm
金氏の作品制作では、すべてのものが素材となりうる可能性をもっています。見慣れたものであればあるほど、日常から切り離されたときに生まれる違和感が大きくなる、あるいは面白さが生まれてきます。コラージュという手法で金氏は、無意識に私たちがものごとを通してみる時間や空間、与えられた役割をバラバラにしていきます。
リコー発のアートプロジェクト「StareReap」とのコラボレーションについて、金氏は展覧会に向けたステートメントで次のように述べています。
新しい技術であるStareReapがどういう物なのか、その特性と自分の制作の接点はどこなのかということを探りながら実験を繰り返してきました。
僕が理解したStareReapの特性は、本来、平面作品が内包していた微細な凹凸、絵の具やインクや紙が物であるからこそ持っていた物質感を表面のイメージと地続きで再現するということ、そして、それとは別で、デジタルイメージや広告や雑誌などの既製の印刷物や、すでに写真としてプリントされているイメージなど、凹凸をもたない画像に仮想の凹凸や、写真から凹凸を読み取って作り上げるということができるということです。古くから存在するレリーフという技法が扱っていた、空間や状況を押し込めるような感覚と逆のベクトルをもっているともいえますが、ある意味で新しいレリーフ技法なのではないか?
また、インクの耐候性の観点から、印刷物のコラージュや、カラーペンで描いたドローイングを鋳造し、時間軸をずらすということもあるのではないでしょうか」。
(「展覧会ステートメント」より抜粋:全文はPRESS RELEASEをご覧ください)
WORKS
ARTIST PROFILE
金氏徹平
かねうじ・てっぺい |
Teppei Kaneuji
978 年京都府生まれ。京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。同大学美術学部彫刻科准教。現在京都を拠点に美術家・彫刻家として活動。身の回りにある日用品や雑貨をモチーフに、これらをコラージュした絵画、立体作品やインスタレーションを制作。映像や舞台にも表現範囲を広げ、イメージを断絶したり、つなぎ直したりすることで、物質的存在意義が薄まっていく現実を見つめ直す。そのダイナミックな表現は物質とイメージの関係性を鋭く突きつける。2021年にリコーアートギャラリーで個展「S.F.(Splash and Fragment)」を開催。その他の主な個展として「S.F.(Something Falling/Floating)」市原湖畔美術館(千葉、2022)、「S.F. (Smoke and Fog)」アートフロントギャラリー(東京、2021)、「En/trance」ジャパン・ソサエティー(ニューヨーク、2020‐21)、「消しゴム森」(チェルフィッチュとの共作)金沢21世紀美術館(石川、2020)、「Plastic Barricade」Jane Lombard Gallery(ニューヨーク、2019)、「金氏徹平のメルカトル・メンブレン」丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(香川、2016)、「Towering Something」Ullens Center for Contemporary Art(北京、2013)、「溶け出す都市、空白の森」横浜美術館(神奈川、2009)など。近年参加したグループ展は「ヴォイド オブ ニッポン77」GYRE GALLERY(東京、2022)、「瀬戸内国際芸術祭」日の出公園(岡山、2022)、「村田沙耶香のユートピア_”正常”の構造と暴力 ダイアローグ デヴィッド・シュリグリー ≡ 金氏徹平」GYRE GALLERY(東京、2021)、多数の国内外でのグループ展のほか、舞台美術や装丁もおこなう。また作品は、横浜美術館、森美術館、東京都現代美術館、金沢 21 世紀美術館、KADIST(サンフランシスコ、アメリカ)、Queensland Art Gallery & Gallery of Modern Art (ブリスベン、オーストラリア)など、国内外の主要美術館に所蔵されている。
photo:Atsushi Inamura