Untitled
2021, UV Inkjet Print（StareReap 2.5 プリント）, 100×80cm

これまで横田は作家としての活動のなかで、記憶と現在、イメージと現実の関係性をテーマにしていました。一方で ‘写真の物質性’ にも着目します。なかでも「Color Photographs」は、フィルムに直接光学的、化学的な変化を起こし、さまざまな色の被膜がよれたり重なり合ったりする状態を撮影したシリーズです。 記録する媒体であったはずのフィルムが記録される側に立つこの作品は、フィルムの独特のうねりや複雑な色彩の変化によって、観る者にこれまで味わったことのない触感を想起させます。StareReapのプリンティングディレクターと作家は、フィルムが積層した状態や、色と色の重なり具合、微細に存在する素材感の違いを丹念に分析し、フラットな作品にかつて存在したであろう立体性を与えました。 しかしそれは、元の形状の再現ではありませんでした。StareReapとのコラボレーションによってあらたな変容を遂げた作品について、横田自身は次のように語っています。 「実際は画像を元にまったく厚みのない平面な状態から形を起こしていく、シミュレーションとして高さを加えていくことに面白さを感じました。それは再現性を追及するものでなく、そこには正解がないのです。」